山下太郎氏「歌物語の<リ>と<タリ>-「詠めり」と「詠みたり」-」

山下太郎氏「歌物語の<リ>と<タリ>-「詠めり」と「詠みたり」-」(『古代文学研究第二次 第二十四号』2015年10月)は『伊勢物語』『大和物語』を中心に、助動詞「り」と「たり」に、それぞれ「現前」と「現存」を表す意味機能を解析し、そこに言語主体の認定判断が反映している、と説きます。文学研究と国語学とを架橋する貴重な成果でしょう。かな日記にも当然つながる問題ですし、国語教育にもつながる問題があろうかと思われます。山下氏には2014年12月の本学会での「土佐日記の「り」と「たり」-「よめる歌」と「よめる<ウタ>」という(本論にもかかわる)研究発表があったことも記憶に新しいところです。今後の発展が大いに注目されます。