桜井宏徳氏「『栄花物語』続編における「書く」こと―正編との関わりを中心として―」

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桜井宏徳氏「『栄花物語』続編における「書く」こと―正編との関わりを中心として―」(文芸研究―文芸・言語・思想―(日本文芸研究会 編) 第179集  2015年3月)が公になりました。刊記は昨年3月ですが、実際に刊行されたのは昨年末だったそうです。続編の「書く」ということばに着目し、正編との差異をさまざまな角度から論じています。続編の完結性の問題や正編に対する卑下の意識、さらに続編で際立つ物語へ接近する姿勢など、桜井氏の問題意識の広さ、深さ、目配りの確かさに支えられた、斬新にして優れた続編論として読みました。続編の作品世界と論理を分析しつつ、その議論が外の世界、ジャンルにつながっているところが特筆すべきでしょう。仮名日記を考えるうえでも意義深い問題が含まれていると思います。