『四条宮下野集』の新しい注釈

平安時代の仮名日記を考えるうえでも重要な作品『四条宮下野集』の新しい注釈が現在、和田律子、横溝博、高橋由記、中村成里、有馬義貴の各氏の共同作業によって進行中ですが、このたび、その第四弾が刊行されました(『鳳翔学叢』第11輯、平成27年3月)。今回は69番歌から89番歌までが取り上げられています。『四条宮下野集』は比較的注釈に恵まれた作品という印象がありますが、この新しい注釈が完結した暁には、もっとも詳密で、新見に富んだ著作となることは間違いありません。先行研究や周辺領域への目配りも怠りなく、この連載を基盤にして、今後の『四条宮下野集』研究や寛子サロンの研究は進められていくことでしょう。それにしても、全国各地に参加者がいる中での共同作業にはさまざまな困難が生じたことは想像にかたくありません。そのような困難を乗り越えて、理想的な注釈作業がなされていることに、敬意を表したいと思います。